大草原モンゴル 80P

大草原モンゴル

見渡す限りの地平線である。360度遮る物も何も無い。鳥や虫の声さえも聞こえない。かつてこんな経験をしただろうか。別世界である。自分が生きているのか死んでいるのかさえわからない感覚で、頬をつねってみる。
草原を抜けてゆく風の音と草原の香りだけが微かに感じる。
丘の上に登り、地の果てまで続く草原と天まで抜ける青空を見ながら、悠久の時を感じる。長く座っていると、遠くに無数の石ころだと思っていたものが微かに動く。ゆっくりとこちらの方に近づいてくる羊の群れだ


太陽・月・自然を描く洋画家 三谷祐資