人生 30F

人生(フォンテーヌブローの森)

人生とは何だろうかと、ふと想う事が誰しもあると思う。
二年前の秋、フランス・パリ郊外のフォンテーヌブローの森を訪ねた。ミレー・コローの先人達の描いた、案内状のような道が数えきれない程あった。パリの凱旋門のように放射状に道があり、遠く点になるまで続き、そこからまた放射状にのびており、とても歩いてはいられない広さである。
そんなある日、初老のご夫婦が静かに笑みを浮かべて同じ歩調で歩いて行かれた。まるで昔見た映画のように、その後ろ姿から人生の幸せがにじみ出ていて、私も心が温かくなり、本当に豊かな国だとつくづく思った。


太陽・月・自然を描く洋画家 三谷祐資